2003坂内2DAYSエンデューロ24H

#05 Exceed Charge !

 

−ゼッケン#10を追え!−

経過:22:30 残り:1:30

 先ずS木がスタートする。
 ここからはS木−栗T−S田−HS川と繋ぐ。
 1人3周全開で走るのだ。
 時間短縮のためピットに入ったりはしない。
 ピットレーン上で交代、補給も整備も一切無しだ。
 

 S木が出る少し前に撮影班とサポートの一部が山中に展開する。
 そして各ポイントにおけるゼッケン10番とのタイム差がパドックに無線連絡され、サインボードでライダーに知らされる。

  
 第1報で半周以上の差が付いている事がわかった。
 S木のタイムから想定すると4分半程度の遅れだ。
 だが、周回を重ねる度に差は詰まっている。
 3周したS木が戻ってくる。

 ピットに緊張が漂う。
 メカニックとしても如何に手早くライダーチェンジさせるか重要な局面。
 ロスタイムは殆どゼロで栗Tが出て行く。
 この日乗れている栗Tは一気にタイム差を詰めにかかる。
 事実、タイム差は2分弱までに縮まっている。
  

 このまま行けば、と思った矢先、スカルライダースもライダー交代してきた。
 誰だ? 最速と言われる沖縄氏か?!
 考えても仕方ない。
 この際、もう誰が来ても正面から勝負するしかないのだ。
 

  

 S田が識別灯2本をメットに立てた夜間装備のまま出て行く。
 1周目の後半、木々の間から川渡りセクションを終えたゼッケン10番らしき車体が一瞬見える。
 河原に入った頃には既に周回チェック手前のシケインエリアにいるのがはっきりと分かった。
 HSTRピット前を通ると「目前」と言う合図が出ている。
 

 間違いない。
 ストレートとタイトターンの続くフラットエリアで一気に射程圏内に捕らえ、ガレた登りストレートの手前でぴったりと斜め後ろに付けて様子を見る。

 このまま進むと前方のSERROWは間違いなくコース右端にラインを変更するはず。
 左も通れないことは無いが非常にガレており、リスクを天秤にかけるとそこを通るのは得策ではない。
 このストレートでの抜き場所は1カ所。
 右のフットペグを踏み込みRaidをコース右端の更に外側、草地に半分突っ込ませアクセルをワイドオープンする。
 この見えないエリアには殆どのライダーが使わない、比較的フラットなラインが断続的に存在するのだ。

 「エンデューロのベストラインは見えないところにあるもの。」 W松の教えである。

 僅かに遅れて右にラインを変えようとするSERROW。
 しかしその時点でライン主導権はスピードをのせて前に出たこちらにある。

 overtake!

 「S田、前に出ました〜!!」
 無線機からN田の報告が聞こえてくる。ピットでは拍手がおこっていた。

 その後は少しだけペースを落とし、確実に次に繋げる走りに変更する。

 
 最後のライダー、HS川にベルトが渡された。
 後は無理をせずにこのまま走りきればよい。
 しかし、HS川はそんな走りはしない。 嫁さんの手前、常に全力である。
 2周目。
 まだチェッカーは振られない。

 3周目、遂にチェッカーフラッグが振られ、坂内24時間レースに幕が下ろされた。 
  


経過:24:08 残り:0:00
10/26 12:19
 ←ビールでお祝い(^.^) 臭いと不評だった。。。

 

 

★ Complete ! ★

 片づけがおおよそ終わる頃、閉会式が行われた。


 チーム HSTR
 総周回数: 141周  4ストオープンクラス 6位


 上位3チームまでが表彰対象。 我々は表彰されない。
 しかし、この成績は我がチームとしては上出来だった。

 そして、今年は「スカルライダース」という目標とすべきライバルがいた。
 かなわないと思っていた相手がラスト数時間でまだ手の届くところにいた。
 「負けたくない」という想いが、24時間の最後の1秒まで全力で戦う事に繋がった。
 皆が一体となり、心からレースを楽しんだ。

 そしてジャンケン大会。
 主催者vs参加者でジャンケンを行い勝った者だけが残っていくこの大会、
 このテントが商品となったとき最後に残った3人は全てHSTRのメンバーだった。
 ここで負ければまた最初からやり直しだ。
 「最初はグー、ジャ〜ンケン ポン!」
 グーとチョキとパー。 3人はそれぞれ別の手の形を出していた。 もちろん事前に打ち合わせる時間など無い。
 何というチームワークだろうか。(笑)

 
 K森がイージーアップテントをGETした。 こうしてまたテントが増えた我がチーム。
 ”また”ってのは、昨年はHS川が組立テントをGETしたからだ。(今回ピットに使用していた白いやつ)
 HSTRはこれで2基のテントをジャンケン大会で頂いたことになる。
 「来年も出ろ」 と言われている感じだった。


 閉会式も終わり、スカルライダースの方々にも挨拶をする。
 T原は足の遅いジムニーで大阪南端まで帰るのでここでお別れとなる。
 荷物満載で本人の姿が見えない車の後姿に手を振るメンバーたち。

 その後、K森別宅へと移動する。 大量のゴミと共に。

 反省会、諸々事務処理等を済ませ、お約束のカレーが皆に配られる。
 レース後のカレーの味は、とても文章では表現できない程おいしかった。


 そして、皆、自分の日常へと帰っていった。

 

 

 

− 参加された皆さん、スタッフの方々、お疲れ様でした。  HSTR −

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