− 2007 SAKAUCHI  2DAYS ENDURANCE RACE −

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〜とっても楽しい〜

−デンバード 製作記− その2  

 

 

− 10月8日 月曜日(祝日)−

 

 予定では今日が搬送日。現地での試走を行うはずであったが、レース開催前ということで現地の使用ができないことがわかり、搬送そのものも流れてしまった。

 

 昨日の作業が深夜まで及び、誰一人として起きてこない。

 9時ごろ、のそのそと誰ともなく起き出し、もくもくと作業が開始される。

 

「夕方、帰るから。家かえって台所のアルミ貼りする約束がある」

 S田は前日から宣言していた。もちろん松FもS田が早く帰宅できるように協力したつもりであったが、時間は無情に過ぎていく。S田の焦りが目に見えてくる。

 タイムリミット予定の3時。 突然S田の手が止まった。

 

「後やっといてくれる?」

「あ? 何甘えたこと言ってんねん」

「だって、帰ってアルミ貼りしないと・・・」

「私がこれ、出来ると思う?」

 作業は佳境。シュラウドをタンクに合わせるための立体成形である。設計図はすべてS田の頭の中だ。

「でも・・・帰らないとなぁ」

「帰ったらあかんって言ってないやん。 私に残りができるか? できないっていってるだけやん」

 口ごもり、右を向いたり、左を向いたり、判断に迷っているS田をにたにた笑いながら松Fが追い込む。

「やるんやったら、さっさとやった方が早く終わるで。迷ってる時間に少しでも作業進むやん」

 作業の続きと時計を見比べるS田。

「見ててもできてこないで。 私はできない。 設計図もない。 できるのはあなただけ〜」

 

 さて放って逃げるか?と松Fが次の行動を楽しみにしていると、急にS田の様子が変わった。

「電話してくる」

 どうやら腹を括ったらしい。

 シュラウド完成後、帰宅予定を大幅に遅れてS田は帰宅した。

 

 

 

 

 帰宅後のアルミ貼りも完遂したとの連絡が深夜入った。

 

 

 

− 10月11日 木曜日−

 

 家でボディアーマーを作る松Fの携帯にメールが入った。

“明日、昼からかフレックスで夕方休もうと思うんだが、いる?”

 

 一応完成しているシュラウドと、テールの出来が気に入らないためにやり直したいとの申し出であった。

 ・・・・・・・・・S田さん、 電王のために仕事休むんか。 すごいな。

 その熱意に応えたいが、残念ながら用事がある。

 夕方からなら対応できるよう努力しよう。

“了解。早めに帰っておいてね〜”

  

 レースは一週間後。

 作業できるのは今週末のみ・・・。

 

 

  

− 10月12日 金曜日−

 

 松Fの用事がずれ込んだ。

 さらに渋滞が帰宅時間を遅れさせた。

 いつもは渋滞時間をずらして行動していたため、渋滞の時間を計算し忘れたことが原因だ。

 だがその失態は松Fだけではなかった。

 帰宅してもなかなか連絡がないS田。

 まさか、また事故でもあったのではないか、と心配する松Fに渋滞で遅れるとの連絡が入った。

 S田もまた、夕方の営業帰社渋滞を計算に入れていなかったのだ。

  

 予定より2時間も遅れて作業開始。

 

 まずは

「休憩させて」

「遅れてるのにか?」

「だから、ほら、初期打ち合わせ、15分ってタイムスケジュールに書いてあるだろ?」

 S田は作業のタイムスケジュールを作って、事前に松Fにメールしてきていた。

 松Fは自分が下請け業者になったような気分がしていた。

 

 タイムスケジュールでは22:55に作業終了。 総時間5:25で作業完遂。

「早く終わったら帰るから!」

 高らかに宣言したS田であったが松Fは知っていた。

 業者の作業予定時間は延びることがほとんどであることを・・・。

 

 N田が前々から頼んでいたワイヤリングをS田はさっさと終了させ、デンバードの作業が開始される。

  

 バックには電王の曲が流れる。

  

 電王の曲には台詞インサートのものもある。

 台詞は無意識のうちに脳にインプットされ、沸いた頭のS田、松Fは台詞の言い回しで話が進むまでになっていた。

 

「ここ、切ってもいいよね?答えは聞いてない!」

「僕が器用なのは生まれつき」

「松F、そのやり方はよくない。卑怯すぎる」

「じゃ、お前やれ!」

 

 知らない人が聞いたら意味不明である。

  

 仕事から帰ってきたN田は、ハイテンションのS田・松Fを、ローテンションの目で一瞥し、一人駐輪場でバイク整備を始めた。

  

 バイク整備も佳境に入っているとき、S田・松Fがフィッティングに現れた。

 N田の作業を無視してS田はシュラウド、カウルのフィッティングを行う。 さすがに温厚なN田もいい加減嫌そうな表情をしていた。

 すかさず松Fは

「S田は本当はこんなヤツじゃないんだ。すまない。あやまる」

と棒読みで言った。

 松Fの脳に電王BGMでインプットされた台詞の真似だ。

 

 

 

   

 一瞬、白い空気が流れ、N田が きぃぃぃぃぃ! と絶叫する。

「僕が!僕が!こんなにがんばってるのにぃ!!!!」

 

 げらげら笑い、松FとS田は去っていく。

 

「僕が!こんなにがんばってるのにぃぃぃ!!!!」

  

 N田はまた一人残された。   

                     

 

 気が付けば02:30。

 とうとう松Fが壊れた。

「寝よーや」

 N田は駐輪場での作業を終え、家の中で本番に向けての出撃準備に余念がない。

 S田は日曜日は14時までに帰宅しなければならない!と作業の手を止めない。 今日も泊まりになってしまい、家庭的にマズいらしい。

 

「そんなん、眠い中やってても絶対うまくいかんわ! 怪我するもと! 寝るの! 寝るの! 寝させろ、ゴラァ!!!

 松Fは叫びながら布団にもぐりこんでいく。

 しぶしぶN田、S田も就寝についた。

 

 

 

− 10月13日 土曜日−

 

 朝からN田は仕事に出かけた。

 見送った松Fは二度寝。

 S田はN田よりも遅く起きて作業に入った。

 買出しに出かけたS田が戻ってくるころ、松Fは二度寝から起きだした。

 

 時間との戦いであった。

 S田は時計を見ながらシュラウドの補強を入れていく。

 すべてが完成すると次は取り付けだ。

 

 バイクにもともと付いているライトカウルやフェンダーに取り付け用の穴をドリルであける。

 最初は小さな穴から、大きな穴へと懇親丁寧に行っていたが、ある時点でS田は気付いた。

「このままだったら時間までに帰れないじゃないか!」

 寝ぼけ眼の松Fに細いドリルを渡し、S田は太いドリルで一気に穴をあける戦法に切り替える。

  

 デンバードのカウル、シュラウド、テール、ハンドガード。 すべてをインシュロックで仮止めした姿は圧巻であった。

 このとき、S田・松Fは24耐でそれなりの笑いはとれる事を確信した。

 

 

 

             ↑ これ (YAMAHA TT-R250R)が             ↑ マシンデンバード(笑)になる          

  

 デンバードの雄姿をうっとりと見つめるS田は、ハッと時間に気付いた。12時は目前である。

 S田は後片付けもせず、荷物を纏めると一目散に帰って行った。

  

 

 入れ替わるようにT原がN田宅へ到着。

 午後、穴だらけにされたバイク本体は岐阜のK森別宅へ搬送された。

  

 

 

− 10月15日 月曜日以降・・・−

 

 バイクが岐阜に搬送され、最重要課題が目の前から消えたN田は爽やかに仕事に出かけていった。

 残された松Fは、いまだダンプラと格闘していた。

 残された課題はボディアーマー、そしてライダーのお面である。

 週末のデンバードの作業以外、松Fはボディアーマーを作り続けていた。

 ダンプラで作ったボディアーマーはブレストガードに取り付けて仮装、というのが当初からの予定であった。

 時には仕事から帰り、疲れきったパンツ姿のN田に、仮止めしたボディアーマーをつけてフィッティングの感触を確認したりもした。

  

 

   

 

 怪我をしないように、ライディングの邪魔にならないように。 松Fは細心の注意を払いながら作業していた。

 そのため作業は思うように進まない。

 そのうえ、S田からは手伝いもしないくせに “背面もよろしく” などと無責任なメールがやってきていた。

「まだ終わらない、完成しない!ダンプラなくなった!あうぅぅぅぅぅ」

  松Fは追い込まれ、泣きが入ってきていた。

  

 

 

− 10月17日 水曜日 夜−

 

 N田がまじまじとデンライナーのフロントカウルとサイドカウルを見つめていった。

「ナンバーが見えにくい・・・」

「あんが?」

 松Fはボディアーマーにデザインの布ガムテを貼る手を止めた。

「下地に白を入れないと見えないよ」

「わかった」

 苛立ちを抑えながら松Fは白いカッティングシートを切り出した。

 黒と白のカッティングシートがうまく重ならず、松Fの苛立ちは最高潮に達する。

「んぎゃーー!まだまだまだまだ終わらないのかぁぁ!!」

 

 そこにS田ののんきそうな文面のメールが届く。

“ねえねえ。ライダーベルトどうするの?”

 白のカッティングシートを持ちながら半泣きで松Fはメールを返す。

“持ってたんじゃないの?”

“子どもに聞いたら、壊さなかったらいいよって。壊れるよねぇ”

“なに?私が作るの?私が作るのか?作ってもいいよ。どうやるか教えてよ!”

 松Fの返信メールに危険なものを感じたのだろうか?

 翌日、S田からのメールには、ライダーベルトの作成プランが添付されていた。

  

 

 

− 10月18日 木曜日 夜−

 

 明日は出発である。

 すべては今日終了しなくてはならない。

 最後のお面は既にデータがあるので何とかなりそうだが、ベルトをどうしようかと途方に暮れていた松FにS田からのメールが届いた。

 

 文面には

“今日は朝の3時まで頑張りました。ベルトはこっちで作る”

 ワードで作ったとは思えない細部までこだわった、こんな小さいのん見えるか?な出来のライダーベルト。(上図)

 ケータロス (下図)というライダーベルトオプションからサイドの部品までご丁寧に作られている。

 デンバードの時は 「それっぽく見えればいい」 と言ってたクセに と思いながら、とりあえず持ち上げておこうと賢明な判断をする松Fであった。 実際、ベルトを作って貰えたのは助かったし。

 

 何とかギリギリのタイミングでライダーベルトの完成である。

  

 

 

 

 

  S田・松Fの渾身の自己満足の結集体!

 

  そのすべては20日、21日に明らかになる!!・・・はず

 

 

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